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【馬主の確定申告】事業所得と雑所得の取り扱いの違い

カテゴリ:税務・経理・決算

/公開日:2017年9月11日

馬主
前回の記事「事業所得と雑所得の判定で税金が変わる」で馬主さんの確定申告の際に、最初に課題となる事業所得と雑所得の判定の方法について触れました。

今回は、事業所得と雑所得で税金の計算上、ここが違うというところをお話ししようと思います。

競走馬の保有にかかる所得

事業所得の場合

 競走馬の保有にかかる所得において、赤字が出てしまった場合、損益通算が認められます。

 損益通算とは、その年における他の所得から赤字部分を控除できるということです。
例えば、競走馬の所得以外に給与所得があれば、給与所得から赤字部分が控除できますので、確定申告をすれば税金が還付されるということです。

 競走馬の所得が黒字であれば、当然他の所得と合算して確定申告をすることになります。

雑所得の場合

 雑所得の場合、黒字の時は当然他の所得と合算して確定申告を行うことになりますが、事業所得と異なるのが、損益通算できないということです。

 損益通算できないということは、赤字が出ても他の所得から控除できない、その赤字はなかったことになってしまうということです。
 黒字の時は税金が発生し、赤字の時は特に何もないということになってしまいます。

競走馬を譲渡した場合の所得

事業所得の場合

 競走馬を譲渡した場合で、利益が出た場合は、綜合譲渡所得として課税されます。
 雑所得と大きく異なるのは損が出た場合です。
 競走馬を売却して損が出た場合は、これも損益通算が可能です。青色申告をしている場合には、損が大きく出て控除しきれなかったとしても翌年に繰り越しが出来ますので、翌年の所得から差し引くことができます。

雑所得の場合

 雑所得の場合には、競走馬を売却して損が出た場合は、その雑所得の範囲内で控除はできますが、他の雑所得や他の所得からは控除することができません。
 損が大きく出た場合でも、控除しきれなかった部分は切り捨てられることとなります。

 

生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等

第百七十八条  法第六十二条第一項 (生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一  競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二  通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産(前号又は次号に掲げる動産を除く。)
三  生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの

    

引用元:所令178条①

競走馬が盗難などにより損失があった場合の所得

事業所得の場合

 競走馬が災害や盗難などに遭ってしまって損失を被ってしまった場合には、事業所得の必要経費となります。その損失によって赤字が出てしまった場合には、上記と同様損益通算をすることができます。ただ、損失額が大きく損益通算しても控除しきれなかった場合には、青色申告でなくてもその年の翌年以降3年内は、純損失の繰越控除が適用できます。

 また、競走馬が死亡してしまった場合には、減価償却のまだ残っている部分(未償却残高)は、事業所得の必要経費として計上することができます。

雑所得の場合

 競走馬が災害等で損失が出た場合でも、その損失を受けた年分またはその翌年分の譲渡所得から控除ができるのみです。

 また、競走馬が死亡してしまった場合でも、その未償却残高は雑所得を計算するうえで、控除することは出来ません。

 以上、馬主さんの確定申告をするうえでの、事業所得と雑所得の計算の違いを見てきました。事業所得として税金を計算する方がメリットは大きいですが、事業所得を認められるには保有頭数などの基準があり、それを満たさないといけないのでハードルは低くないと思います。

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