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納税資金と利益の関係

カテゴリ:税務・経理・決算

公開日:

会社が支払う税金を少しでも抑えたいと思う経営者は少なくありません。出来ることであれば支払いたくないと思うことでしょう。このような場合には、専門家である税理士事務所に依頼をすると法律の範囲内で節税対策のアドバイスを受けることができます。

しかし節税対策は現金の支出を伴うものが多く、現金を少しでも会社に多く残したいと思う場合には、納税することがお金を貯めることに繋がることがあります。

納税することがお金を貯めることになる?

現預金の重要性

現預金は事業の生命線です。帳簿上で利益が発生していたとしても、取引先への支払いが滞れば取引規模の減少を、給料の支払いが滞れば従業員の解雇等、現預金の不足は事業活動において悪影響しかありません。

事業活動において十分な現預金が得られない場合は、経営者個人の資産から捻出するか、融資を受けて事業資金をつないでいく必要があります。
しかしこれらも一時的な解決方法にしかなりません。

事業活動によって現預金が得られるようにならないと、経営者個人の資産では限度があり、経営者自身の生活を脅かすことや、融資を受けたことで元金や利息の支払いに追われる状況になる可能性があります。

事業活動において十分な現預金が得られない場合が続くと、最終的には倒産、利益があっても黒字倒産をせざる得なくなります。

事業活動を続けていくにあたり、現預金は非常に重要なものになります。

法人税の仕組み

法人税は均等割と所得割に大別され、均等割については会社が存続するだけでも課税されますが、所得割については会社の利益に対して課税がされます。

つまり会社の利益が大きい程、所得割は増加をし、一般的に節税対策は所得割が課税されないように、会社の利益を少なくする手法が採られます。

利益とは原則として売上から経費を差し引いたものです。節税目的で利益を少なくするために売上を減らすことは、会社の取引規模を縮小させることになるため、会社の成長を妨げることになります。また売上を減らすことで現金の流入が減ることになります。

経費を増やすことも、多くの場合は現金の支出を伴い、結果として節税になったとしても、現金の流出が増えることになります。

経費を増やす節税策で現金の流出が増えるとは?

納税額を減らす目的で10万円の交際費として飲食費を支出する場合、当然10万円現金は目減りします。

交際費とは、得意先、仕入先その他事業に関係のある人等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為に支出したものをいいます。

これが本当に必要な飲食費であれば、得意先等との関係を良くするためのものであり、今後の事業活動に良い影響をもたらすことが期待されます。

しかし税金を減らしたいという目的だけのために飲食費に使うことは、今後の事業活動においての良い影響は期待できません。

更にこの10万円を支出して得られる節税効果は、法人税率を約30%とすると10万円に30%を乗じた3万円でしかありません。

よって節税目的の飲食費の支出は、今後の事業活動への良い影響が期待出来ずに10万円が目減りし、一方でこの支出が無い場合は税金の3万円のみが目減りし、結果として節税目的の飲食費の支出を行わない方が7万円多く手元に残ります。

利益を減らすことを追及すると納税資金がなくなる

最も簡単な現預金の残高の指標は、損益計算書の利益に減価償却費を加算した金額です。

ここから借入金の返済等損益計算書に現れない項目を差し引きした際に現預金の不足がなければ事業は成り立ちます。

利益を減らす限度額は事業が成り立つ水準までといえます。

しかし毎月の事業活動に現預金の不足が無いだけでは、納税時等の多額かつ一時的な支出に対応をすることが難しくなります。

毎月の利益を減らすことを追求し、事業が成り立つだけの現預金残高では、長い目で見ると現預金が不足する事態に陥る可能性があります。

手元のお金を増やすには

上記のように、利益を減らすことでの節税の追及は、手元のお金を減らしてしまい、現預金の資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。

手元のお金が増えるような、利益の増加をさせるための手法をご紹介致します。

売上を増やす

売上を増やすには、現状の取引先との規模を増加させるだけでなく、新規顧客を増やすことも大切です。

新規顧客を増やすためには、会社の存在、事業内容を広く伝えていくことが必要です。そのためには広告宣伝を行うことが不可欠となりますが、CMや看板の設置には現預金の流出が伴います。

現預金の流出によりそれ以上の売上の増加が見込めるのであれば、積極的に利用すべきですが、最近ではインターネットで情報収集する人が多く、SNSのように無料で利用することの出来る広告媒体もあります。

FacebookやInstagram、Twitter等のアカウントを無料で取得し日々の事業活動を気軽に発信出来るものや、WixやJinbo等の無料でHPを作成することの出来るツールがあります。

現預金を使うことなく売上が増加をすれば、利益は増加、手元の現預金は増加します。

経費を減らす

売上は相手があって初めて増やすことが出来るものですが、経費の削減は自社内の判断だけで行うことが出来るものが多くあります。

経費の削減としてよく挙げられるものが固定費の見直しです。会社の固定費としては家賃、水道光熱費、通信費等が挙げることが出来ます。

これらの経費は売上金額に関わらず定期的に発生をするため、見直しをすることで経費の削減効果が大きく期待できます。

特に通信費は比較的契約の変更がしやすく、インターネット契約会社を変更する、格安スマホに変更するなどの対策を採ることが出来ます。

資金繰りの予想をする

事業が成り立つ現預金残高を予想する

事業が成り立つための取引先への支払い、人件費の支払い、固定費の支払い等、必ず支出すべき金額は、事業を進行しているうちにおおよその金額を予測出来るようになります。

その支出を滞りなく行うために、必要な現預金を算出することで、売上金額はどの程度増やすことが必要なのか、経費はどの程度減らすことが必要なのか、事業目標が立てやすくなります。

1年間の事業の結果としての年次決算書のみで判断するのではなく、毎月の月次試算表で予測と実績の確認をし、一時的にでも現預金が不足しないよう管理をするようにすると、資金繰りは良くなります。

納税資金も予想が出来る

法人税の納税時期は決算後から2ヶ月以内です。

法人税が利益に対して課税をされることから、年間の利益を予想することが出来れば、納税すべき金額も予想が出来ます。

法人税のみならず、会社が支払うべき税金には消費税、自動車税、源泉所得税等がありますが、いずれも支払時期以前に納付すべき金額は予想が出来るものです。

これらを予想し、事業が成り立つ現金残高に加えて、納税資金分やその他予想が出来なかった事態に備えるための現金残高を確保出来るよう、月々の事業目標を立てる必要があります。

まとめ

以上のように節税対策は現金の支出を伴うものが多く、現金を少しでも会社に多く残したいと思う場合には、利益を減らすことばかりを追求することは正しい策とはいえません。

売上を増やし、経費を減らす、そして利益を増やすという会社として通常目指すべき方向が、結果として現預金の潤沢なキャッシュリッチ企業への近道ともいえます。

会社の成長を妨げない節税対策や、現預金をどのように管理すべきかの資金繰りについて、お困りの事がございましたら、是非弊社にお問い合わせくださいませ。

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