売掛金で資金調達?資金繰りの苦しい会社に役立つファクタリングとは
カテゴリ:税務・経理・決算
/公開日:2019年3月27日
「売掛金を売って資金調達をする」
ファクタリングは銀行からの借り入れに代わる資金調達方法であり、手形決済などの財源に必要な緊急資金の調達において威力を発揮します。
しかし、緊急資金が必要なほど資金繰りに窮している状態では精神的なゆとりがなく、悪質業者かどうかを見極めに支障をきたしかねません。
そこで、ファクタリングの利用を冷静に検討できるようにするため、ファクタリングの概要、メリット・デメリット、悪質業者を見極める方法について解説します。
ファクタリングとは
ファクタリングは銀行融資、手形割引、カードローンなどに代わる資金調達方法です。ファクタリングにも色々種類はありますが、会社が行うファクタリングを法人ファクタリングといいます。
まずはファクタリングの概要について見ていきましょう。
売掛金を確実に現金化できる
ファクタリングとは、未回収の売掛金を買い取ってもらえたり、売掛金に保険をかけてリスクを回避したりできるサービスのことを指します。
そのため、売掛先が倒産しても、貸倒れ(売掛金の回収不能)のリスクを自社が背負わずに済み、確実に現金化することができます。
ファクタリングの方法
ファクタリングの方法は2つあります。
(1)買取ファクタリング
買取ファクタリングは手形割引に似たような資金調達方法であり、未回収の売掛金をファクタリング会社に売却し、手数料や掛目を差し引いた残額が入金されます。
(2)保証ファクタリング
保証ファクタリングは、保証会社に対して保証金を差し入れて貸倒れのリスク回避をする方法です。
万が一、売掛先の倒産などで売掛金が回収できない場合、保証会社が保証金を支払ってくれます。そのため、資金調達が目的でなく、あくまでも企業の代わりに貸倒れのリスク回避です。
緊急資金の調達面では、売掛金を売却し、現金化する時期を選択できる買取ファクタリングのほうが保証ファクタリングによりも優れているといえます。
買取ファクタリングの種類
買取ファクタリングは2者間と3者間の2種類あります。それぞれの仕組みについて紹介します。
(1)2者間
2者間とは、自社とファクタリング会社の2者で売掛金のやり取りをする形態です。売掛先の同意は必要なく、「ファクタリングをした」という情報も取引先に通知されません。具体的な手順は次の通りです。
①ファクタリング会社に売掛金を売却する
②ファクタリング会社から売掛金から手数料を差し引かれた残額が支払われる
③売掛先から売掛金を回収する
④上記③で回収した売掛金をファクタリング会社に支払う
(2)3者間
3者間とは、自社、ファクタリング会社、売掛先の3者合意のもとでファクタリング会社を実施します。具体的な手順は次の通りです。
①ファクタリング会社に売掛金を売却する
②ファクタリング会社から売掛金から手数料を差し引かれた残額が支払われる
③売掛先がファクタリング会社に直接支払う
2者間との違いは、自社が売掛金を回収する代わりに、売掛先がファクタリング会社に直接支払う点です。
買取ファクタリングの注意点
前述の通り、買取ファクタリングは緊急資金の調達に優れていますが、「手数料負担」や「取引先との契約書に債権譲渡を禁止する条項が記載されていない場合に限られる」などデメリットが存在します。そのため、他の資金調達方法と比較し、ファクタリングを利用するかどうかを慎重に検討する必要があります。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットを紹介します。
売掛金を早期に現金化できる
売掛金の回収サイトは1ヵ月以上かかるのが一般的であるのに対して、家賃など諸経費の支払期限は入金まで待ってくれません。
特に緊急資金が必要な場合には、売掛金を早期に現金化できるファクタリングによる資金調達が有効といえます。
即日の現金化も可能
ファクタリングは、ファクタリング会社によって売掛金を即日に現金化することが可能です。支払手形の期日までの当座預金残高が不足しているなど緊急資金が必要な場合は1日でも早く資金調達をしたいでしょう。そのためには、ファクタリングの審査を素早くするが大切となり、必要書類の用意をスムーズにすることがポイントになります。一般的な必要書類は次の通りです。
- 登記簿謄本や会社概要が分かる資料
- 発注書・請求書・検収書・業務基本契約書など売掛金の詳細が分かる書類
- 通帳のコピー
- 決算書のコピー
- 依頼主本人の身分証明書のコピー
返済する必要がない
ファクタリングは借入金ではありません。資金調達をした金額について、銀行融資のように獲得した利益から返済する必要がなく、いったん入金されたら、確実に手元に残るお金です。
一方、手形割引は振出人が不渡りを出せば、自社が約束手形の額面金額と同額を金融機関に返済(支払い)するリスクを背負うことになります。
売掛先が倒産しても支払リスクが発生しない
そもそも売掛金は売掛先の倒産などにより現金化されないリスクが潜んでいます。そのため、売掛先から入金されるまで安心できない経営者や経理担当者もいるかもしれません。
しかし、ファクタリングは、貸倒れのリスクを自社の代わりにファクタリング会社が背負うため、売掛先の倒産をしても損失を被ることはありません。
先方に知られることなくファクタリングできる
ファクタリングを2社間で実施する場合、売掛先などの先方に通知しないため、取引先に対する信用低下のリスクを回避することができます。
売掛先の信用で資金調達ができる
銀行融資や金融機関での手形割引は自社の信用が審査基準なのに対して、ファクタリングの審査基準は売掛先の信用になります。
たとえば、銀行から融資を受けられない企業が上場企業の売掛金(信用)を用いてファクタリングによる資金調達が可能です。
信用情報に掲載されない
ファクタリングは借入金でないため、銀行融資やカードローンのように借入金残高や返済状況などについて信用情報に掲載されません。特に信用情報を気にして資金調達に消極的な企業にファクタリングはおすすめです。
連帯保証人や担保が不要
銀行融資やカードローンでの資金調達には、連帯保証人や担保の差出しが必要になるケースがあります。しかし、ファクタリングは確実に連帯保証人や担保の差出しは不要であり、経営者個人が返済不能に陥った場合のリスクを背負うことはありません。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットを通常の売掛金回収を含めた他の資金調達方法と比較しながら見ていきましょう。
手数料がかかる
ファクタリングは売掛金から金利に相当する手数料を負担し、留保金をファクタリング会社に差し出します。留保金はファクタリング会社に売掛金が入金された時点で自社に返還されます。
手数料は5%~7%が一般的であり、2者間の買取ファクタリングの場合は10%~30%と料率が高くなる傾向にあります。
一方、留保金は「売掛金の額面金額-売掛金の額面金額×掛目」で計算します。掛目の料率は75%~95%が一般的であり、売掛先の信用度に比例してパーセンテージが高くなります。
売掛先の承諾が必要な場合も
3者間の買取ファクタリングの場合、売掛先の承諾が必要です。交渉や事務手続きなど資金調達までに時間がかかる可能性があり、緊急資金の調達には不向きといえるでしょう。
ファクタリングの情報を登記する可能性あり
売掛先との取引内容やファクタリング会社によっては債権譲渡登記が必要なケースがあります。費用は債権譲渡登記が7万円~9万円、抹消登記が1万円~2万円です。
ファクタリング会社の中には悪質業者もいる
手数料を相場よりもかなり高い料率で設定したり、何だかの形で自社によって著しく不利な契約を結ばされたりすれば、ファクタリングによる資金調達のメリットが激減してしまいます。特に資金繰りが苦しく、気持ちのゆとりがない状態の場合は要注意といえるでしょう。
悪質業者を見極める方法
ファクタリングを上手に活用するためにも、悪質業者を見極める方法についてきちんと押さえましょう。
ファクタリング手数料が30%以上の会社
一般的にファクタリング手数料の料率は高くても30%以内です。たとえ取引条件がよくても、手数料が高ければ資金調達の意味が半減してしまいます。
2社間での買取ファクタリングで手数料が5%前後の会社は注意が必要
2者間での買取ファクタリングの手数料は10%以上が一般的であり、低率の場合は別の名目で請求される可能性があります。ただし、企業努力によりオンライン完結のサービスなどでコストダウンをしている会社も存在します。手数料が安い理由を事前に把握しましょう。
2回目以降の手数料が安く設定しない会社
そもそも手数料は売掛先の倒産リスクに応じて設定されます。同じ売掛先の売掛金のファクタリングが2回目以降なら信用調査は済んでいるため、初回より手数料が安く設定されるのが一般的です。そのため、2回目以降のファクタリング手数料が安くならない会社は避けるべきでしょう。
手数料を明確にしない会社
一般的にファクタリングをする前に手数料を知らせます。そのため、手数料を明確にしない会社は高額な金額を請求する可能性があります。
予定されていた手数料以上に請求する会社
ファクタリング会社の担当者が口頭で伝えた手数料より、契約書に記載されている手数料が高くなるケースがあります。必ず契約書を確認しましょう。
手数料以外の費用が相場より高く請求する会社
たとえば、印紙代や司法書士へ支払う手数料などが相場より高額請求されるケースがあります。ファクタリングをする前に印紙代や司法書士に対する手数料の相場を知っている専門家に相談するのも一つの手です。
契約書を渡さない会社
そもそも契約書はトラブルになったときのファクタリング会社との間にトラブルとなった際に不利にならないための必要書類です。契約書がないということは、トラブルの際に自社が不利に陥り最悪、泣き寝入りするしかありません。
まとめ
資金ショートを防ぐ方法の一つとして、ファクタリングを説明しました。
資金繰りが不安だと経営自体が不安になってしまいます。資金繰り改善などのご相談がある方はぜひ当事務所へご相談ください。
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