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退職金の取り扱い

カテゴリ:税務・経理・決算

公開日:

今や人の確保が難しい時代です。一世代前の日本と異なり、今よりもよい条件のところが見つかれば気軽に転職するような時代になってきています。そこで問題となるのが退職金の取り扱いです。ここでは、役員・従業員・勤続年数・源泉税・資金的な準備の視点で細かくみていきましょう。
税務・経営

役員の場合

支給要件

役員の退職金の支給には、退職した事実が原則として必要です。一般の従業員は退職に伴い、その会社の事業運営とは全く関わらなくなるのが通常ですが、役員の場合は代表取締役を退任はするが会長職として取締役に留まり、会社の事業運営に関わる場合があります。

代表取締役を退任後、全く事業運営に関わらない場合は、取締役としての登記も消滅するため、退職の事実があったとみなされ、退職金の支給が可能であり、株主総会の決議等で確定した日の属する事業年度に損金として計上することが出来ます。

しかし代表取締役を退任後に会長職として取締役に留まる場合のように、同じ役員としての地位でありながらも、職務が変わる分掌変更によって退職金が支払われる場合は、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合のみ、損金として計上することが出来ます。

実質的に退職したと同様の事情にあるとは、

  • 常勤役員が非常勤役員になったこと
  • 取締役が監査役になったこと
  • 分掌変更等の後におけるその役員の給与が50%以上激減したこと等

が該当をします。

退職金額の算定方法

役員の退職金の算定方法は、一般的には最終月額報酬に役員在籍年数と功績倍率を乗じて計算を行います。功績倍率とは役職に応じた倍率で、代表取締役は約3倍、常務取締役は約2倍程度が相場といわれています。

また役員退職金規定をあらかじめ作成し、その規定に沿った計算をすることで会社としての基準が明らかになり役員間での退職金額の不公平感を緩和することや、税務調査で退職金額の算定根拠として提示することが出来ます。

退職金における源泉所得税の計算方法

退職金における源泉所得税の計算方法は、退職する人から退職所得の受給に関する申告書の提出がされている場合とされていない場合とで異なります。

退職所得の受給に関する申告書の提出がされている場合は、支給される退職金により退職所得を計算し、その退職所得に対して退職所得の源泉徴収税額の速算表を用いて源泉所得税を計算します。

退職所得の計算方法は、まず退職する人の勤続年数を計算します。

この勤続年数は月数については切り上げて1年として計算をします。

この勤続年数が20年以下の人については、40万円に勤続年数を乗じた金額が、20年超の人については70万円に20年超部分の勤続年数を乗じ、800万円を加算した金額が、それぞれ退職所得控除の金額となります。

支給される退職金から上記の手順で計算をした退職所得控除を差し引き、さらに2で割った金額が、退職所得の金額です。

例えば、勤続年数40年、退職金が3,000万円の場合の退職所得を考えてみましょう。
退職所得控除額:70万円×(40年-20年)+800万円=2,200万円
退職所得の金額:(3,000万円-2,200万円)÷2=400万円

また源泉所得税の金額を計算するために使用する退職所得の源泉徴収税額の速算表は以下の通りです。

課税退職所得金額(A) 所得税率(B) 控除額(C) 税額=((A)×(B)-(C))×102.1%
195万円以下 5% 0円 ((A)×5%)×102.1%
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円 ((A)×10%-97,500円)×102.1%
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円 ((A)×20%-427,500円)×102.1%
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円 ((A)×23%-636,000円)×102.1%
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円 ((A)×33%-1,536,000円)×102.1%
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円 ((A)×40%-2,796,000円)×102.1%
4,000万円超 45% 4,796,000円 ((A)×45%-4,796,000円)×102.1%

参考URL:国税庁HP

退職所得の受給に関する申告書の提出がされていない場合は、支給される退職金に20.42%の税率を乗じて計算した金額が源泉所得税の金額です。

上記の例で計算すると、退職金に対する所得税は下記になります。

適用される税率:20%
(4,000,000円×20%-427,500円)×102.1%=380,322円(端数切捨て)

ちなみに、退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合の所得税は一律で20.42%となります。

上記の例でいくと、3,000万円×20.42%=6,126,000円となります。

退職所得の受給に関する申告書の提出の有無で源泉所得税が大きく変わります。ただし、退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合であっても、確定申告をすることで正しい退職所得の源泉税が精算することができますのでご安心くださいね。

退職金の資金準備

役員の生存退職金や死亡退職金のための資金を確保するために、生命保険が利用される場合があります。会社が契約者、死亡保険金受取人となり、役員を被保険者として契約をします。

会社が受け取る解約返戻金は役員の生存退職金、死亡保険金は役員の死亡退職金のための資金として活用をされます。

過大役員退職金に注意

退職金を支給するにあたり、不当に高額である部分は損金の額に算入として計上することが出来ません。不当に高額な金額に該当するかについては、同業類似法人の退職金の支給状況との均衡から判断を行い、明確に何円までが妥当であり、何円以上が不当に高額であるとはいえません。

役員退職金が過大であると税務調査で指摘をされた際には、役員退職金は役員賞与とみなされ、役員自身、会社の支払うべき所得税の加算、会社として損金として計上することが出来ないことから法人税額の加算等のペナルティが発生します。

従業員の場合

支給要件

一般の従業員は退職に伴い、その会社の事業運営とは全く関わらなくなるのが通常であるため、会計処理上支払うことに制約はありません。

損金として計上することが出来るのは、従業員が退職した日、従業員に実際に退職金の支給がされた日、 会社の就業規則に退職金の支払日が明記されている場合にはその支払日の属する事業年度です。

会計処理上は制約がありませんが、会社の事業運営上は社内の就業規則を確認し、その規則に沿った支給が必要です。

一般的には在籍年数が3年以上の従業員の退職に対して支払う場合が多いです。

退職金額の算定方法

退職金額の算定方法も社内の就業規則に沿った基準を採用します。退職する事由が自己都合か会社都合かによって計算方法が異なる場合が多いです。

退職金における源泉所得税の計算方法

退職金における源泉所得税の計算方法は、役員の場合と同様です。

退職金の資金準備

従業員の生存退職金や死亡退職金のための資金を確保するために、中小企業退職金共済や総合福祉団体定期保険が利用される場合があります。

中小企業退職金共済とは会社が契約者となり、掛金を納付し、従業員が退職した際にその従業員に中退共から退職金が直接支払われる制度です。

総合福祉団体定期保険は会社が契約者、従業員を被保険者、死亡保険金の受取人を従業員の遺族としたものです。

早期退職制度による退職金

会社は従業員本人の転職や疾病等を起因としない退職である、早期退職制度を採用する場合があります。

早期退職制度には、企業が事業を見直したり経営を再建したりすることを目的に行う希望退職制度のものと、人事制度として行われる定年を何歳にするか従業員が選ぶことの出来る選択定年制度のものがあります。

これらの退職は従業員本人の転職や疾病等を起因としないため、通常の退職とは異なる退職金の取扱いが必要であり、通常の退職規定とは異なる、早期退職制度に関する社内の就業規則の確認をします。

早期退職者には通常の退職者よりも優遇された措置が定められる場合が多いです。

まとめ

近年急速に発達しているAI技術や電子化の影響により、世の中で7%の仕事がコンピューターに置き換わるともいわれています。そうなると、会社に必要となる従業員数が減少し、従業員の業務内容もコンピューターに出来ない部分をお願いしていくことになります。

会社の体質変化に対応することが出来る従業員が求められ、対応が出来ない従業員は配置転換や早期退職制度が必要になり、従業員が退職する事態も増加することが考えられます。
また少子化の影響もあり、有能な若手は今よりもよい条件のところが見つかれば気軽に転職するような時代です。

退職金の注意点や税制について詳しく知りたい方は、お気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。

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