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節税とお金の関係

カテゴリ:税務・経理・決算

/公開日:2019年1月14日

会社を設立してその事業が軌道に乗ってくると、利益が発生するようになります。法人税はこの利益に対して法人税率を乗じて計算されるため、利益が多くになるにつれて法人税額も多くなります。よって事業が拡大するにつれ、納税による金銭的な負担が大きくなるため、節税対策が必要となってきます。

しかし、節税対策の多くは金銭の支出を伴うものです。節税対策に奔走するあまりに資金繰りが悪化しては本末転倒です。金銭の支出と法人税額の減税効果のバランスを比較しながら、それぞれの会社にあった節税対策を行う必要があります。

以下では一般的によく使われている節税対策をご紹介いたします。
会計

倒産防止共済

倒産防止共済とは中小企業の連鎖倒産を防ぐために作られた共済で、独立行政法人中小企業基盤整備機構が窓口です。

取引先が倒産等で売掛金を回収できなくなった場合に、無担保、無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借り入れが出来ます。借入を行いやすくさせることで、売掛金の貸倒による資金の不足、資金の不足による会社の倒産に備えることが出来ます。

この共済の掛金は月額5,000円から20万円まで自由に選択することができ、また法人の経費として認められています。

よって倒産防止共済の掛金として支出した金銭の額がそのまま利益を少なくさせ、法人税額を減少させる効果があります。20万円を毎月掛金として金銭の支出をした場合は、年間240万円の利益を少なくさせることが出来ます。

節税効果がありながら、取引先の倒産による金銭的損失に備えることが出来るだけではなく、倒産防止共済は解約時に払戻金を受け取ることが出来ます。払戻金率は倒産防止共済を40カ月以上継続した場合は100%となっており、非常に高い払戻金率です。この払戻金は払戻金を受けた年度の法人の利益となるため、利益を増やしたい年度や資金が必要となった年度に解約をすることが有効となります。

解約返戻金の多い保険に加入

保険会社や保険商品により法人契約でその掛金を全額損金に出来るものがあります。

その保険に加入することで倒産防止共済のように節税効果が見込めます。同じような掛金を支払うのであれば、掛け捨てではなく、解約返戻金が多い保険に加入をした方が、節税対策と同時に資金繰りに活用が出来ます。
 

必要なものを購入する

利益を少なくさせ、法人税額を減少させるには、保険の掛金のように費用を多くすることが最も簡単な方法です。しかし節税対策のためといって、本来法人の経費として認められない、個人的な支出を法人の経費とすることや架空の経費の計上は出来ません。また不必要なものを購入することや、巨額の交際費を支出することは、法人税額は減少しますが、金銭の支出に対する事業にもたらされる効果が低くお勧め出来ません。

一時的に当期の法人税額を減少させるために、来期購入予定であったものを購入することや、将来の売上に貢献しそうな機械や備品の導入など、事業にとって必要であると思うものを購入することをお勧めいたします。

従業員に賞与を支払う

 
従業員に賞与を支払うことも、賞与は経費として計上が出来るため節税効果があります。これは一時的な金銭的な支出がありますが、従業員の事業への貢献を讃えることで、従業員の就業意欲を増加させ、将来の売上への貢献が見込めます。

事業の拡大成長を期待するのであれば、人的資源は大切なものです。賞与のみならず、期末付近での年度末の慰労会などの福利厚生に支出することも、同様の効果が見込めます。

決算時に利益が多額であることに気が付き急遽賞与を支給したい場合には、決算賞与として従業員に臨時的な支出をすることが出来ます。しかし決算賞与が期末までに支払えない場合は、期末までに支給する全従業員に支給額を通知していること、期末から1ヶ月以内に全額支払うこと、などと要件を満たさないと、当期の経費として計上が出来ませんので、注意が必要です。

また一度決算賞与を支払うと、来期末も支給があるのでは無いかと従業員に過剰に期待を持たせてしまったり、支払わない年度があると経営状況を懸念されたり就業意欲を落とされるなどの、対従業員との関係に影響を及ぼすため、利益がどの程度出たら支給する、など明確な決算賞与に関するガイドラインを社内に設けることをお勧めいたします。

役員に賞与を支払う

役員報酬について、原則は定期同額であることを条件に、法人税法上の経費として認められています。定期同額とは1ヶ月以下の一定の期間ごとで、その事業年度中の各支給時期における支給額が同額でなければならないというものです。

役員報酬を成功報酬のように毎月異なる金額を支給した場合は、法人税法上で経費として認められず、その役員報酬には法人税額を減少させる効果がありません。つまり原則では定期同額に反する賞与の支給は役員には法人税法上は認められていません。

役員に賞与を支払い、かつ法人税法上の経費として認められるようにするためには、事前確定届出給与に関する変更届出を税務署に提出をする必要があります。この届け出は役員報酬に関する株主総会の決議の日から1カ月以内又は期首から4ヶ月以内、新設法人であれば設立後2ヶ月以内に提出を行う必要があります。このような期限により、節税対策として役員に賞与を支払うためには、早めの利益金額の算出と判断が必要になります。

またこの届け出には支給金額や支給日を記載します。記載した通りの支給金額、支給日に賞与の支払いを行わないと、経費として認められません。 

節税対策とお金の関係

ご紹介した節税対策は、法人税を減らすのみならず、将来の事業への貢献が期待出来るものもあります。しかし、いずれも対策を行うにあたり金銭の支出が伴います。

支出された金銭の額は、そのまま利益を減らす効果がありますが、その利益に対して法人税率を乗じて法人税額は計算されるため、節税の観点からは、支出した金額の税率分(利益金額や資本金額により税率は異なります)の金額のみが減らされます。つまり支出額と節税額は一致しません。

節税対策に奔走してしまうと、支出が多くなり資金繰りが悪化する可能性があります。資金繰りの悪化により会社が黒字倒産してしまうようでは本末転倒です。経費として認められるからという理由で無理な支出、不必要なものの購入、巨額な賞与の支給はお勧め出来ません。勿論、経費として認められないものを経費として計上することは認められず、税務調査等により指摘を受けた場合に悪質な利益操作が判明をした場合には50%の重加算税が課税されます。

経費としての支出金額、またその支出による将来の事業への貢献の期待度により、どの節税対策をとるのか、何円をその節税対策に支出するのかをバランスを見ながら、適正で適法な判断する必要があります。

まとめ

節税対策としてどの節税対策をとるのか、何円をその節税対策に支出するのかの経営判断は、当期の経営状況や将来の事業計画と照合しながら考える必要があります。適切な節税対策はどのような策なのか、というのは会社ごとに異なります。

最も有効な節税対策はどれなのか、節税対策に金銭を支出するのは資金繰りとして適正であるかなど、節税対策に関する不安や疑問がございましたら、是非弊社にご相談を頂ければと思います。無理な支出や悪質な利益操作にならないよう、適正で適法な節税対策をご案内致します。お気軽にお声掛けくださいませ。

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