医療法人設立のメリットとデメリット
カテゴリ:医院・クリニック開業
/公開日:2017年8月8日
個人事業でクリニックをされているドクターも医療法人にした方がいいのか、いつのタイミングで医療法人にした方がいいのか悩むところだと思います。
まずは、医療法人を設立した場合のメリットとデメリットを見て判断してみてください。
医療法人を設立するメリットは?
大きく分けて、メリットとしては以下のの3つになります。
【3つのメリット】
- 税務上のメリット(税率の違い)
- 経営上のメリット(経費計上できる項目の増加)
- 相続上のメリット(赤字の繰り越し)
メリット1:税率の違い
まず、税務上のメリットとしては、個人事業の場合は、累進課税といって所得が高くなればなるほと税率も高くなる(超過累進税率)所得税が課税されます。字のごとく、稼げば稼ぐだけ税金も高くなるということです。
医療法人を設立することによって、所得税から法人税に課税される税目が変わります。法人税は、基本的には税率は所得によって2段階に変わるだけです。ある一定の利益のところで所得税率より法人税率の方が低くなるので、所得税の税率によって法人税の方が単純に考えても有利になるケースが多いです。
また、医療法人ではドクターに給与を支払うことになります。給与を支払うということは、個人として給与所得となり所得が分散され、結果的には所得税の税率も下がるので、節税することができます。また、給与所得には給与所得控除といって一定額が給与の額から差し引くことができるので、課税される所得は減ることになるので、効果としては大きいです。
メリット2:経費計上できる項目の増加
医療法人だけに限らず、法人の方が経費計上できる項目が多いです。
生命保険についても、所得税の場合は生命保険料控除となるため、保険の種類にもよりますが最高12万円の控除となります。
法人で生命保険に契約すると、加入する保険によって、全額が経費計上できるものと半額が経費計上できるものなど分かれますが、所得税のように上限額が決まっているわけではありません。
また、社宅や退職金など法人にすることによって経費計上できる項目は増えますので、そういったことを活用すれば節税も図れます。
メリット3:赤字の繰り越し
医療法人を設立する時点で赤字になっているクリニックはないと思いますが、税制としては所得税の場合の赤字の繰越が3年間に対し、法人税では9年間です。
次に、経営上のメリットとしては、サテライトクリニックの経営や老健などの施設を経営することも可能になるため、経営としての幅が格段に広がります。
最後に相続上のメリットとしては、相続対策が容易になるということです。個人経営の場合にはドクターが亡くなった場合には、個人のクリニックを廃業し、相続人が新たにクリニックを開設するという流れになりますが、医療法人であれば、ドクターが亡くなっても法人は存続するので、理事長を新たに選任し経営を継続することが可能です。
また、事業承継の面からも持分あり、持分なしにもよりますが、事前に事業承継を行っておくことによって、よりスムーズに経営を承継していくことが可能になります。
医療法人を設立するデメリットは?
【デメリット】
医療法人を設立するデメリットは、社会保険への加入が義務になります。
社会保険への加入となると、医療法人とスタッフで社会保険を折半という形になるので、法人として負担が増えます。
税務上ですと、交際費が個人事業の場合には金額の縛りがなかったのに対し、法人では800万円という枠ができますので、交際費が多いクリニックなどは注意が必要です。
まずは、法人設立のメリット・デメリットの事前シミュレーションから。
上記のように、税金面だけ見てもかなり個人と法人では税額等も変わってきますので、一度法人にした場合のシミュレーションだけでも行っておいた方がいいかもしれません。
当事務所では、法人化のシミュレーションは無料で行っておりますので、必要であればいつでもご連絡ください。
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