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休眠会社を復活させるメリット、デメリット

カテゴリ:税務・経理・決算

/公開日:2019年1月16日

会社設立は今や難しいものではなく、複数の会社を設立したもののうち、事業が上手くいかなかったなどの理由によって、休眠状態にさせている会社がある方もいらっしゃるかもしれません。

今回は休眠会社を復活させて利用するにあたり、そのメリット、デメリットをご紹介致します。
会計

休眠会社復活のメリット

繰越欠損金が利用できる

事業が上手くいかず休眠にした会社であれば、会社は赤字が出ていた場合が多くあります。事業年度毎の赤字は、最長で10年繰り越すことが出来、黒字になった年度と相殺することが出来ます。

法人税は、黒字の金額に対して税率を乗じて計算がされるため、黒字が減るということは法人税額が減ることを意味します。赤字であった休眠会社を復活させて、復活後の年度が黒字であると見込まれる場合、休眠会社を復活させることは法人税の節税の観点からは新規会社を設立するよりも有効な手段となります。

この繰越欠損金の利用は、休眠後も申告書を連続して提出していることが条件となりますので、休眠後に一切の税務申告を行っていない場合は利用が出来ません。

信用や許認可を引き継ぐことが出来る

休眠会社を復活させる場合、社名は変わらないため、それまでの取引先で得た信用を無駄にすることが有りません。復活後に獲得する取引先からも、設立年度は休眠させた会社の年度を引き継げるため、会社の存続の長さについても新規会社の設立よりも信用が得やすくなります。

社会に名の通っていた会社、創業何百年といったような歴史のある会社ほど、休眠していたのであれば、それを復活させる価値があります。

また許認可等の会社が事業を行うにあたり提出すべき書類も、引き継ぐことが出来ます。新規会社を設立すると、信用づくりや提出すべき書類などの全てを再度行う必要があります。

休眠会社復活のデメリット

みなし解散をされている可能性がある

みなし解散とは、最後の登記から長らく登記の手続きがされていない場合、法務局の権限で解散されたという整理作業をされることをいいます。

一般的な会社は事業継続にあたり役員などの登記を定期的に行う必要があるため、長らく登記の手続きがされていないと事業が行われていないと法務局から判断されるためです。

また法務局は実体のない会社を登記上公開しているのは、登記のシステムそのものの信用性が失われること、休眠会社の売買が犯罪の手段としてされないことなどを理由に、整理作業を行っています。

みなし解散の対象となるのは、最後の登記から12年を経過した株式会社、5年を経過した一般社団法人、一般財団法人です。この対象となると法務局から通知があり、それに対して登記の申請や事業の廃止をしていない旨を伝えないと、法務局の権限で解散の登記がなされます。

自身の所有する休眠会社であればその通知の有無により、みなし解散がされたかが判明しますが、記憶にも無いようなあまりにも年月の経った休眠会社を復活させようとする場合には、確認が必要です。

過去の税金の滞納による信用の低下

休眠会社を復活させることで信用等を引き継ぐことが出来、これが有利に働く場合もありますが、過去に税金を滞納していたなど、対外的に悪いイメージがある場合は、その悪いイメージも引き継いでしまいます。

新たに復活後に獲得する取引先からの信用は損なうことが有りませんが、金融機関等の歴年の会社の情報を保有している機関からは、信用が低下してしまう恐れがあります。

届け出が取り消されている可能性がある

事業を行うにあたり必要な許認可や届け出は、一度提出すれば永年有効であるものと、事業の活動実態をもって有効とされるものがあります。

例えば、会社の決算において繰越欠損金の利用や特別償却の採用など、法人税の税金の計算上有利になる計算手段は、青色申告書の承認の申請という届出があって初めて行うことの出来るものです。

この届出の要件の一つに、毎期継続して期限内に法人税の申告を行うことがあります。この継続を怠り、2期以上連続して期限後申告や無申告を行うと、青色申告書の承認の申請が取り消されてしまいます。この場合は休眠会社であっても、申告書を提出し続けることで、届け出の効力を保つことが出来ます。

しかし休眠会社にし、そのまま解散をさせる予定で申告書の提出を止めていると、予定を変更し休眠会社を復活させる際には、青色申告書の承認の申請が取り消されてしまっていた、という場合もあります。

休眠会社を復活させる場合、あらかじめ復活させる予定で休眠させていたのであれば届け出等の効力に意識が向けられている場合が多いですが、予定を変更して復活させる場合には、それらの届け出等の効力が引き継げるかを確認する必要があります。

新規会社の設立の方が安い場合もある

新規会社の設立には、会社印や定款の作成、登記費用、また届け出等の提出など手間と金銭が再度必要となります。しかしその手間や金銭以上に休眠会社の復活に労力が必要な場合があります。

それは、休眠会社が休眠時の税金の支払いを行っていない場合です。休眠会社は事業を行っていないことを理由に、休眠である届け出を税務署等に提出することで成立し、事業を行っていないため利益は発生せず法人税の支払いは無くなります。

しかし、届け出を行わずただ会社を放置してしまった場合は、法人住民税が課税される可能性があります。この納付を休眠中の間において失念していた場合、復活後に休眠中まで遡って納付を要求される可能性があります。

税金のみならず、休眠会社の休眠中の処理が、会社を解散させる予定で放置しておいた場合には、復活後に休眠中まで遡って様々な処理を行う労力が必要となります。

他人の休眠会社を買収し復活させる場合には更に注意が必要

自身が設立した会社を休眠させ、それを復活させるのであれば上記のようなメリット、デメリットの把握は容易く出来るでしょう。

しかし他人の休眠会社を買収し復活させる場合には、決算書や届け出、税務署等への問い合わせで判明すること以外にもデメリットが隠れている場合が有ります。

例えば過去にSNS上にて炎上したことがある、従業員が失踪したことがある、など公的機関に把握されていない信用の低さは、すぐに判明できるものではありません。これらの信用の低さが復活後の事業に悪影響を及ぼす場合が有ります。

他人の休眠会社を買収し復活させる場合には、自身が設立した会社以上に慎重に判断を行わなくてはなりません。

まとめ

以上のように休眠会社を復活させる場合には、メリットやデメリットがあります。他人の休眠会社を買収し復活させる場合には更に注意が必要となります。また休眠会社を復活させようとした際には、検討の結果、新規会社を設立した方が良い場合もあります。

休眠会社を復活させるということは、対外的なメリット、デメリットを引き継ぐだけでなく、税務的な側面からも休眠前の会社と休眠後の会社との整合性がとれるように確認が必要です。整合性がとれないと思わぬ労力を要してしまう可能性があります。自身で休眠会社の復活の手順に悩むことに時間を使うことよりも、休眠会社の復活後の事業内容に時間を使う方が、事業の成長につながります。

休眠会社を復活させようとお考えの方、是非お気軽に弊社にお問い合わせくださいませ。

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