お金をかけずに、いきなり法人で会社設立するためのポイント
カテゴリ:会社設立・起業
/公開日:2018年4月13日
会社員として働いていて、いつかは独立と考える人は少なくありません。
よくあるパターンは個人事業主として開業し、事業が軌道に乗ったら法人化という流れです。
法人化すると税金が安くなる場合もありますし、節税対策も個人に比べて豊富です。
また、法人のほうが信頼されやすいため、銀行でお金を借りる上で有利になります。
ただ、法人格を持つ会社を設立するときはいろいろな手順を伴います。
なるべく簡単に、低価格に済ませたい方のために、「お金と時間をあまりかけずに、会社をつくるためのアドバイス」を記載します。
株式会社か、合同会社か
会社法で定められている「法人」には種類があります。有名なのは「株式会社」です。
その他「合同会社」「合資会社」「合名会社」があります。
※かつては「有限会社」もありましたが、現在は設立できません。
では4種類の中で、どれを選んで立ち上げたらいいでしょうか?
結論から書くと、いきなりの挑戦であれば「株式会社」または「合同会社」が無難です。
合名会社・合資会社には、責任の範囲に限度がない(会社の債務ができたら、社員に返済する責任が生じます)といった注意点があります。
では株式会社と合同会社のどちらを選んだらいいでしょうか?
下記では株式会社と合同会社の違いを記載しています。
株式会社の主な特徴
経営者と出資者は基本的に、同一人物ではありません。
株式を発行することで出資者から資金を集めることができます。
株主のために、定期的に株主総会を開く必要があります。
株主には役員選出等に介入する権限が与えられています(議決権は、出資しているお金の割合で変わります)。
合同会社の主な特徴
経営者と出資者が同一人物です。
つまり、会社を持ちたいと思った人が一人でどちらの役割も担うことが可能です。
合同会社は会社法が大きく改正された平成18年に新設されました。
まだ10数年間しか経っていませんが、合同会社の方が設立しやすいため、合同会社の数はかなりの勢いで増えてきています。
合同会社の主なメリット
・登録免許税や、定款の作成に必要な費用が安い
株式会社と比べて、14万円くらい安上がりになるチャンスがあります(総額10万円くらいです)。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
登録免許税 | 約15万円 | 約6万円 |
定款の作成費用 | 約5万円 | 約2000円 |
収入印紙代 | 約4万円 | 約4万円 |
※この他にも、印鑑作成や様々な書類の作成・手続きでコストが発生します。
なお、収入印紙代は電子認証を選ぶなら必要ありません(ただしその代わりに、Adobe AcrobatやICカードリーダの準備が必要です)。
・社員に収益を分配するときに、出資の割合で決める必要がない
「各社員の活躍度合い」といった主観的な要素で決めても構いません。
・決算公告が義務付けられていない
株式会社の場合、毎年の決算公告は避けて通れません。
・役員の任期が制限されていない
株式会社の場合は、役員の任期(最長で10年)毎に更新しないといけません。
以上のメリットは、中小企業にとって有利に働きます。日本の企業の99%は中小企業ですし、いきなり株式会社を設立するよりも合同会社を選ぶメリットは多いです。
では、合同会社が株式会社と比べて劣る点はあるでしょうか?
合同会社の主なデメリット
・株式会社より、知名度が低い
「合同会社」と名乗っても、正しく理解してもらえないかもしれません。
・社員の間で対立が深まったときのリスク
合同会社では全社員が出資者となるため、全員に等しく業務執行権が与えられます。
そのため社長だからといって、社員同士の対立を楽に収拾できるとは限りません。
しかし、これら以外に目立つデメリットは見当たりません。
合同会社を設立するときの手順
では、合同会社を立ち上げるときの手順をご説明します。
迅速に処理すれば、すべての手順が1週間~10日くらいで完了する可能性があります。
必要な項目の決定
合同会社をつくるときは、以下の項目を決める必要があります。
- 商号(会社の名前)
- 本店所在地
- 代表取締役
- 設立日
- 事業の目的
- 資本金
- 事業年度
- 出資者・社員の決定
……etc.
印鑑の作成
印鑑は、以下のように数種類つくることが大事です。
- 会社の認印
- 代表取締役の印鑑
- 金融機関用の印鑑(銀行印)
……etc.
会社の認印と銀行印は一緒でもOKですが、安全面を考えるとできたら分けたほうがよいです。
なお代表取締役の印鑑ができたら、印鑑証明書を2枚取得しましょう。
定款の認証と、法務局での登記の際に必要です。
定款の認証
定款とは、法人の情報と規則をまとめて掲載する書類のことです。
完成したら、公証人役場に持って行って認証を受けます。
出資金の入金
振込口座は発起人の個人名義の口座で構いません。振込額は、出資金ちょうどでないといけません。
※口座や金額については前もって、定款に記載しておく必要があります。
終わったら、通帳のコピーを取って証拠として用います。
法務局での登記
定款や設立登記申請書といった必要書類一式を提出します。
無事に受理されれば、晴れて設立したことになります。
その他、公的な施設での手続き
登記が終わったら、以下の施設に会社設立の届け出を行います。
- 地方自治体(役所・役場)
- 税務署・都道府県税事務所
- 社会保険事務所
- 労働基準監督署
- ハローワーク
……etc.
会社の設立で失敗が多いこととは?
合同会社の設立のよくある失敗例を紹介します。
必要項目を、適当に決めてしまった場合
必要項目はいくつもありますが、適当に決めず慎重に検討しましょう!
※たとえば、所在地や事業目的を適当に選んでしまうと、助成金・補助金や金融機関の融資を申請するときに支障をきたすおそれがあります。
資本金は、例えば1円であっても会社の設立はできます。
しかし資本金が安いと、融資の審査を受けるときに不利に働く場合があります。
定款認証でつまずく場合
現在は法務局の公式Webサイトで定款のテンプレートが公開されています。
定款には、細かな基準が設けられています。
書き方をわずかに間違えただけでもやり直しになるので気をつけてください。
役所・役場での手続きがうまくいかない場合
役所や役場も、さまざまな基準を設けています。
たとえば、許認可を取っていないためにNGとなるケースは有名です。
事業の種類によっては、許認可の手続きを踏まないと事業を開始できません。
お金をかけずに、法人設立に手早く成功するために
時間やお金をできるだけかけずに会社を手に入れるには、以下の点がポイントです。
- 現在の日本でいきなり会社を立ち上げるなら、株式会社と合同会社が無難。
- 株式会社よりも合同会社のほうが、約14万円も安くなる上にメリットが多い。
- 合同会社設立の際は、定款や登記をはじめ必要な手順がいくつもあるが、テキパキとやれば10日以内で間に合う。
- よくわからずに適当に判断すると大きな間違いにつながることもある。
会社を設立するとなると、色々と不安なことやわからないことも多いかと思います。
また、会社という形態になると申告業務が個人の場合に比べて格段に難しくなります。
会社設立やその後の経理、申告作業に少しでも不安がある場合は是非ご相談ください。
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