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介護・設立|名古屋市のソーシャルビジネス支援資金を徹底解説

カテゴリ:介護事業設立・開業

/公開日:2018年11月2日

介護事業を始めるなら日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金について知っておきたいところ。NPO法人またNPO法人以外の法人によって、融資の条件などが異なるからです。

また、ソーシャルビジネス支援という支援団体が存在して、利用するかどうかを検討する価値があります。

そこで、ソーシャルビジネス支援資金の概要、無担保・無保証で融資を受ける方法を中心に説明します。その後、ソーシャルビジネス支援の概要。NPO法人にするメリット・デメリットにも触れます。
介護事業

ソーシャルビジネス支援資金(企業活力強化貸付)の概要

ソーシャルビジネス支援資金とは、地域や社会の課題解決に取り組む事業者を日本政策金融公庫が融資する制度です。それでは、制度内容を詳しく見ていきましょう。

融資対象者

対象者はNPO法人とNPO法人以外の法人に大別できます。

(1)NPO法人
特定非営利活動促進法の別表(第二条関係)で限定列挙されている20業種が対象になり、介護事業や保育園など福祉事業も含まれます。

(2)NPO法人以外の法人
次のいずれかに該当する業種が対象になります。

1. 保育サービス事業、介護サービス事業など(日本標準産業分類における老人福祉・介護事業、児童福祉事業、障がい者福祉事業など)
2. 社会的課題の解決を目的とする事業

融資限度額

担保の有無、業歴、資金用途によって融資限度額は異なります。

担保 業歴 融資限度額 備考
なし 創業前または税務申告を2期終えていない事業者 運転資金:1,500万円
設備資金:3,000万円
新創業融資制度と併用
なし 税務申告を2期以上行っている事業者 運転資金および設備投資:4,800万円 担保を不要にする融資と併用
あり 運転資金:4,800万円
設備投資:7,200万円

返済期間

返済期間は資金用途ごとに区分されます。
◇設備投資:20年以内(据置期間2年以内)
◆運転資金:7年以内(据置期間2年以内)

利率

利率はNPO法人とNPO法人以外によって若干違います。

(1)NPO法人

業種 適用利率
保育サービス事業、介護サービス事業など 特別利率B、C
認定NPO法人(特例認定NPO法人を含む) 特別利率A
社会的課題の解決を目的とする事業 特別利率A
上記に該当しない事業者 基準利率

(2)NPO法人以外

業種 適用利率
保育サービス事業、介護サービス事業など 特別利率B、C
社会的課題の解決を目的とする事業 特別利率A

適用利率は基準利率が最も高く、特別利率A、B、Cの順で低くなります。たとえば、ソーシャルビジネス支援資金(担保を提供する融資)の利率(年)は次の通りです。

  • 基準利率:1.16%~2.35%
  • 特別利率A:0.76%~1.95%
  • 特別利率B:0.51%~1.70%
  • 特別利率C:0.30%~1.45%

融資が決まるまでの平均所要日数

申込日から2週間(土日を含む)です。ただし、相談内容や融資の条件より、平均所要日数より長くなることがあります。

融資までの流れ

日本政策金融公庫に融資を申し込んでからの流れについて説明します。なお、申し込みは電話でも受け付けています。
☎事業資金相談ダイヤル:0120-154-505

(1)必要書類を用意する
次の区分によって用意する書類は違います。
1,設立前および税務申告を2期以上終えていない事業者

  • 事業計画書(または企業概況書)
  • 法人の場合は履歴事項全部証明書または登記簿謄本
  • 設備投資の見積書

2, 税務申告を2期以上行っている事業者

  • 直近2期分の税務申告書
  • 法人の場合は直近の試算表(決算を終えていない事業者または決算後6カ月を経過した事業者に限る)
  • 設備投資の見積書

(2)面談
資金用途や事業計画(状況)を把握する目的で面談を実施します。そのため、融資担当者が事務所・店舗・工場を訪問することがあります。

(3)融資の実行
融資が決定すると、借用証書など契約書類の送付・提出後、銀行口座に送金されます。

(4)返済
原則、月賦払いであり、返済方法は次の3種類です。
◆元金均等返済:元金を均等に返済する方法
◆元利均等返済:利息と元金の合計額を均等に返済する方法
◆ステップ返済:返済期間の経過に伴い、利子と元金の合計額が増額される返済方法

借入事例

ソーシャルビジネスに該当する業種ごとの借入事例について紹介します。

(1)高齢者介護(デイサービス)
高齢者介護の事業者が送迎用車両の購入資金・新規職員の人件費支払いのために500万円の融資を受けました。返済期間は5年であり、元金返済額は月額9万円です。

(2) 子育て支援(保育園)
若者就労支援の事業者が改修工事代金・ホームページ制作費・広告宣伝費のために1,000万円の融資を受けました。返済期間は6年であり、元金返済額は月額14万円です。

無担保・無保証|ソーシャルビジネス支援資金と併用できる融資制度

ソーシャルビジネス支援資金で融資を受ける場合、日本政策金融公庫から担保は要求されて、保証人も求められる可能性があります。

そこで、確実に無担保・無保証を希望する場合、ソーシャルビジネス支援資金と併用できる融資制度を利用することが可能です。

ここでいう併用とは、ソーシャルビジネス支援資金に代えて別の融資制度を利用することを意味します。つまり、利率などの融資条件は併用する別の融資制度を参照します。

新創業融資制度

創業前または税務申告を2期終えていない事業者が新創業融資制度の対象になり、無担保・無保証の融資制度です。

融資限度額は運転資金が1,500万円、設備投資が3,000万円になります。また、利率は基準利率を例にすると、ソーシャルビジネス支援資金の利率(年)が1.16%~2.35%なのに対して、新創業融資制度は2.26%~2.85%と高めに設定されています。

また、介護事業で設立する場合、特別利率B、Cが適用されるため、一般的な業種に適用される基準利率よりも低利率です。

担保を不要とする融資

税務申告を2期以上行っている事業者が担保を不要とする融資の対象になり、無担保の融資制度です。つまり、代表者のみが保証人になります。ただし、実質的な経営者や事業承継を予定している人に対して、保証人の差出しを要求する可能性があります。

融資限度額は運転資金・設備投資のいずれも4,800万円になります。また、利率は基準利率を例にすると、2.06%~2.65%とソーシャルビジネス支援によりも高めです。

無保証|NPO法人の特例制度

NPO法人に限定した特例制度です。ソーシャルビジネス支援資金や担保を不要とする融資を受ける場合、年利0.1%を上乗せすることで、保証人の差出しが不要になります。

NPO法人以外の法人が保証人を不要にできる経営者保証免除特例制度と違い、対象者の条件に業績などの制限がなく、利用できるハードルが低くなっています。

ただし、もともと無担保・無保証の新創業融資制度を利用するNPO法人は特例制度の対象外です。

経営者保証免除特例制度

NPO法人以外を対象にした特例制度です。ソーシャルビジネス支援資金や担保を不要とする融資を受ける場合、年利0.2%を上乗せすることで、保証人の差出しが不要になります。次のすべての条件を満たすNPO法人以外の法人が対象になります。

  • 税務申告を2期以上行っていること
  • 事業資金の融資取引がある場合は、直近の1年間(取引歴が1年未満の場合は、取引がある期間)、返済に遅延がないこと。
  • 最近2期の決算期において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。
  • 直近の決算期において債務超過(累積赤字や多額の負債により自己資本がマイナスの状態)でないこと。
  • 法人から代表者への貸付金・仮払金などがないこと など

ただし、NPO法人の特例制度と同様に、新創業融資制度を利用する場合は対象外です。

ソーシャルビジネス支援ネットワーク

日本政策金融公庫では、ソーシャルビジネス支援資金と別に事業者をサポートするソーシャルビジネス支援を実施しています。

ソーシャルビジネス支援の概要

日本政策金融公庫の国民生活事業が地方公共団体、地域金融機関、NPO支援機関等と連携して、ソーシャルビジネスの担い手の経営課題の解決を支援しています。サポートの柱は次の4つです。
1. 相談者の相互相談
2. 相談会の開催
3. 経営支援セミナーの開催
4. イベントの開催

具体的な取り組み

ソーシャルビジネス支援の拠点のひとつである「ソーシャルビジネスサポートあいち」を例に見ていきましょう。サポート内容は次の通りです。
(1) 設立の準備期
 法人設立の手続き
 事業計画の策定、検討
 創業資金の調達

(2) スタートアップ期
 補助金などの申請相談
 事業内容の周知
 短期(つなぎ)資金の調達(一時的な運転資金の不足を補填する資金調達)

(3) 成長期以降
 人材確保・管理
 長期資金調達
 販売促進
 ネットワーク構築

名古屋市・愛知県の拠点

名古屋市・愛知県のソーシャルビジネス支援の問い合わせ窓口は次の通りです。対象地域の日本政策金融公庫の国民生活事業に問い合わせましょう。

支店名 電話番号 対象地域
名古屋支店 052-561-6301 名古屋市西区/名古屋市中村区/津島市/愛西市/清須市/北名古屋市/弥富市/あま市/豊山町/大治町/蟹江町/飛島村/
名古屋中支店 052-221-7241 名古屋市千種区/名古屋市東区/名古屋市北区/名古屋市中区/名古屋市昭和区/名古屋市守山区/名古屋市名東区/瀬戸市/春日井市/小牧市/尾張旭市/日進市/長久手市/東郷町/
熱田支店 052-681-2271 名古屋市瑞穂区/名古屋市熱田区/名古屋市中川区/名古屋市港区/名古屋市南区/名古屋市緑区/名古屋市天白区/半田市/常滑市/東海市/大府市/知多市/豊明市/阿久比町/東浦町/南知多町/美浜町/武豊町/
豊橋支店 0532-52-3191 豊橋市/豊川市/蒲郡市/新城市/田原市/設楽町/東栄町/豊根村/
岡崎支店 0564-24-1711 岡崎市/碧南市/刈谷市/豊田市/安城市/西尾市/知立市/高浜市/みよし市/幸田町/
一宮支店 0586-73-3131 一宮市/犬山市/江南市/稲沢市/岩倉市/大口町/扶桑町/

NPO法人のメリット・デメリットを比較

ソーシャルビジネス支援資金において、利率面ではNPO法人ほうが有利です。そこで、介護事業を開業する場合、NPO法人とNPO法人以外にすべきかどうかの判断材料にするため、メリット・デメリットを比較検証します。

メリット

  • 前述の通り、ソーシャルビジネス支援資金の利率面で有利
  • 社会的信頼性が高い
  • NPO法人向けの助成金が受給できる
  • 設立時の登録免許税が非課税 など

デメリット

  • 設立するまでの期間3カ月以上かかる
  • 10人以上の社員(正会員)が必要
  • 報告書や提出書類の作成が煩雑 など

NPO法人の対象20業種(参考資料)

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 観光の振興を図る活動
五 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
六 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
七 環境の保全を図る活動
八 災害救援活動
九 地域安全活動
十 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
十一 国際協力の活動
十二 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十三 子どもの健全育成を図る活動
十四 情報化社会の発展を図る活動
十五 科学技術の振興を図る活動
十六 経済活動の活性化を図る活動
十七 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十八 消費者の保護を図る活動
十九 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
二十 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

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