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会社の設立を行う場合は合同会社、株式会社どちらが良い?

カテゴリ:会社設立・起業

/公開日:2018年9月6日

  会計

 近年、会社の形態として合同会社を選択する会社が増えています。既に世界で名の知られている有名な会社にも、株式会社ではなく合同会社である会社が沢山あります。

 一般的なイメージとして会社の正式名称は株式会社であるように思われがちですが、有名な会社も選択する合同会社とはどのような形態の会社なのでしょうか。またその合同会社を選択するメリットとは何なのでしょうか。

 以下では株式会社と比較をしながらご説明をします。

合同会社とは

 合同会社とは会社の形態の一つです。株式会社と合同会社の大きな違いは、合同会社は持分会社であることです。

 株式会社の意思決定は出資者である株主の集まりである株主総会で行われ、実際な経営は株主ではなく、代表取締役と業務を行う取締役が経営の役割を担っています。
 つまり、所有者と経営者が原則的に分離をしています。

 一方で持分会社である合同会社は取締役をおかず、出資者である社員自らが原則的に業務を行います。つまり所有と経営が一致しているのが合同会社です。

合同会社のメリット

設立費用が抑えられる

 会社の設立は、登記を行うことで成立します。登記は会社の設立に必ず必要な事項であり、この登記を行うにあたり登録免許税という費用が必要となります。この登録免許税は株式会社を登記する場合は15万円、合同会社を登記する場合は6万円です。

 また登記だけではなく定款認証費として株式会社は5万円が必要ですが、合同会社には必要ありません。

 このように、株式会社と比較し合同会社は設立時の費用を抑えることが出来ます。

利益の配分が自由

 会社の事業を行った結果、利益が出るようであればその利益を会社の所有者に配分することが出来ます。

 株式会社の利益の配分は、1株当たりの配分金額を定め、その配分金額に株数を乗じた金額を各株主に分配を行います。よって多くの資金を会社に出資し株を多く所有している株主ほど、多額の利益の配分を受けることが出来ます。出資時の財力に利益配分が比例をします。

 一方で合同会社の利益の配分は、会社への出資金額に関わらず、配分割合を定めることが出来ます。出資時の財力に利益配分が比例をしません。よって出資金額の多寡に関わらず、その利益を生じさせた業務に対する貢献度に応じて利益の配分を行うなど、会社の意思により利益を配分するごとに決定をすることが出来ます。

 このように、株式会社と比較し合同会社は利益の配分が自由に出来ますので、臨機応変な資金移動が可能です。

決算公告の義務がない

 会社の事業を行った結果として会社は決算書を作成する義務があり、この書類を決算時には税務署に提出する必要があります。

 株式会社はこの決算書の公表を行う義務があります。株式会社は所有者と経営者が異なり、経営者の会社の運用結果を所有者である株主に公開し説明する必要があるためです。決算時点の株主のみならず、上場会社であればその他の投資家への情報提供としての役割もあります。また公表を行うための官報掲載費用として約6万円が必要となります。

 一方で合同会社はこの決算書の公表を行う義務がありません。所有者と経営者が同じであり、かつ外部の投資家が存在しないためです。社外への公表をしたくない場合は合同会社を選択すべきともいえます。
 このように、株式会社と比較し合同会社は決算時に費用面、手続面において負担を少なくすることが出来ます。

役員の任期がない

 株式会社は役員の任期は最長で10年と定められています。この10年を経過する際には必ず改選を行い、登記を行う必要があります。10年経過後も同じ役員を採用する場合でも必要な手続きです。またこの登記にかかる登録免許税は1万円です。この手続きを行わないと過料を求められる場合があります。

 一方で合同会社には役員の任期がありません。同じ役員を採用し続けるようでしたら、役員に関する手続きは必要ありません。

 このように、株式会社と比較し合同会社は役員の任期に関する費用面、手続面において負担を少なくすることが出来ます。

法人税や消費税などの税金対策は株式会社と変わらない

 会社は会計期間ごとに損益を計算し、法人税や消費税の申告を行い納税する必要があります。これらの計算方法は株式会社と変わりはありません。どちらも法人会社であるため、一般的な法人税法や消費税法、また中小企業の特例や青色申告制度を利用することが出来ます。

株式会社だけが一般的な会社形態と思われる傾向にありますが、合同会社も一般的な会計処理を行います。特別な合同会社専用の会計処理はありません。

会社の納税金額が低くなる計算方法を選択し、利益を抑えるような経営を行うことに、合同会社という理由で制約が課されることはありません。

合同会社のデメリット

信用度や知名度が低い

 一般的なイメージとして会社の正式名称は株式会社であるように思われがちであるため、株式会社と比較し合同会社は信用度や知名度が低くなる傾向にあります。

 また社長の肩書が株式会社は代表取締役です。代表取締役という肩書は広く一般に知られており、その役職は理解されやすいものです。

 一方で合同会社の社長の肩書は代表社員となります。同じ社長でありながら代表社員という肩書は一般的に知名度が低い傾向にあります。

 知名度が低いと捉えられると、取引先が取引に応じにくい、役職を理解されないなどの弊害がある場合があります。

 このように、株式会社と比較し合同会社はイメージとして信用度や知名度が低い傾向にあります。
  

人材確保がしにくい

 上記のように知名度を理由とし、会社への人材を募った際に、応募が少なくなる可能性があります。知名度が違うのみであり、給与や仕事内容などのその他の条件が全く同じ求人があった場合、応募をする人は知名度の高い会社に応募をします。知名度が高い会社で働くことの方が、その働く人の自己満足感や周囲からの評価が高くなる傾向があるためです。

 株式会社と合同会社の表記の違いに、会社の規模や体力を示す要素はありませんが、イメージとしての知名度が、人材確保の面でも影響をする場合があります。

増資が出来ない

 増資とは会社の資本金を増額させることをいいます。資本金は会社の規模を表すともいわれ、多額である方が信用性の高い会社とみなされます。また資本金が少額のあまり業務に必要な許認可が申請出来ないなど、増資が必要となる場合もあります。

 株式会社は増資を行う場合、新たに株式を発行しその株式を買い取ってもらうことで資金を調達することが出来ます。

株式の買い取り先は社内の人の知人のみならず、上場している株式会社であれば、世間の投資家にその買い取りをしてもらうことも出来ます。広く世間の投資家より資金を集めたい場合は、株式会社を選択するべきです。

 一方で合同会社が増資を行うことが出来ません。株を発行して行う会社形態では無いため上場することも出来ません。

まとめ

 以上のように、合同会社は費用面や手続面で株式会社よりも負担が少なく、かつ所有者と経営者が同じであるため、臨機応変な対応が出来るメリットの多い会社形態です。

 知名度や増資などの対外的な要素がデメリットとなりますが、これらを重要視するものでない場合は合同会社での会社の設立をお勧めいたします。

 弊社ではこのような会社の形態の選択をはじめ、設立に関する様々なご相談を承っております。どうぞお気軽にお声掛けください。

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