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不正な会計帳簿の見抜き方、よくあるポイントを徹底解説

カテゴリ:税務・経理・決算

/公開日:2019年1月14日

ニュースや新聞で耳にする粉飾決算。実態は赤字であるのにも関わらず、何らかの不正を行い黒字にして、決算書上を優良企業であるかのように見せる犯罪です。

取引先が粉飾決算をしていては、安心して取引を行うことは出来ません。不正を行う会社であるという不信感は取引そのものにも不安を覚えますし、犯罪行為が判明し倒産する可能性もあります。

では粉飾決算をしているような、不正な決算書はどのようにしたら見抜くことが出来るのでしょうか。今回は不正な会計帳簿のよくあるポイントをご紹介致します。
税務

売掛金が多額に計上されている

粉飾決算をする際に多く採用される不正手段として、売掛金を増加させて売上を故意に多く見せる方法があります。売上を多くすることで利益も多く見せることが出来ます。不正な伝票を作成することだけで不正が出来てしまい、売上原価の計上や金融機関、取引先との連携が無くても可能な手段となっています。

売掛金の取引先が明記をされていても、その取引先が会社の関連会社や社長個人などの場合には、融通の利く間柄で売上の付け回しをしている可能性があります。

また取引先が倒産して売掛金を回収できなくなった場合、本来は貸倒損失としてその相手先に対する売掛金を損失として振替、売掛金を減少させなくてはいけません。しかし貸倒損失を計上せず売掛金として計上をしたままにするのも、売掛金に関する不正な手段です。

これを見抜くためには、期末の売掛金の残高と年間の売上を比較することで不正かどうかを判断が出来ます。売掛金は通常は売掛金の計上から1ヶ月から2カ月程度で入金がされるものです。よって期末の売掛金の残高は売上の1ヶ月分から2ヶ月分程度の金額であるものが正常な残高です。

売上の1ヶ月分とは、年間の売上を12ヶ月で割った数字が目安となります。よって期末の売掛金の残高が年間の売上高の半分以上となっている場合などは不正が疑われます。

買掛金が計上されていない

売掛金を多額に計上する手段の逆で、買掛金を減少させて仕入を故意に少なく見せる方法があります。仕入を少なくすることで利益を多く見せることが出来ます。こちらも不正な伝票を作成することだけで不正が出来てしまいます。

これを見抜くためには、売掛金と同様に、期末の買掛金残高と年間の仕入額を比較することで不正かどうかを判断が出来ます。

在庫が過大になっていないか

 
在庫を過大に計上することで、年間の売上原価を少なくさる不正手段です。売上原価は期首の在庫に期中の仕入れを加算し、そこから期末の在庫を差し引くことで計算をされます。期末の在庫を過大にすると、差引される金額多くなるため、売上原価は少なくなります。売上原価を少なくすることで利益を多く見せることが出来ます。

これを見抜くためには、平常時に売上の何ヶ月分の在庫を抱えている会社であるかを考えることが判断に利用することが出来ます。在庫は売掛金や買掛金と違い、会社によって売上の何ヶ月分を保有しているかというのは異なります。

その会社が売上の何ヶ月分の在庫を保有しているかというのは、その時点の在庫商品を1ヶ月分の売上で割ると計算することが出来ます。在庫商品は売上の一定割合であることが多いため、期首在庫を1ヶ月分の売上で割った数字と、期末在庫を1ヶ月分の売上で割った数字とを比較し、期末在庫を1ヶ月分の売上で割った数字の方がはるかに大きければ、不正が疑われます。

また食品など、扱う商品によっては長く倉庫に保管出来ないようなものもあります。長く保管できない商品でありながら、数ヶ月分保有しているのはおかしい、という判断も出来ます。
 

粗利率のチェック

売掛金、買掛金、在庫と合わせてチェックを行うべきポイントが粗利率です。粗利率とは売上原価に対し売上利益がどの程度の割合で生じているかを示す割合です。商品を仕入販売する場合、仕入値に利益を足して販売金額としています。

大きな社会的変動が無ければ、仕入先や販売先に対して仕入値や販売金額を急変させることは難しいものです。仕入先に仕入値を安くしてもらうには相応の数の仕入数が必要になるなど、値引きの交渉は簡単ではありません。

また販売金額は消費者の購買意欲が減少するため、簡単に上げることも出来ません。よって粗利率は同じ商品を扱っている場合はほぼ一定になる傾向があります。

しかし、売掛金、買掛金、在庫に対して不正が行われている場合はこの限りではありません。売掛金に不正があれば売上利益が大きく、買掛金や在庫に不正があれば売上原価が少なくなるため、いずれも粗利率が不自然に上昇します。

これを見抜くためには、会社の前期や前々期などの決算書と当期の粗利率を比較することで、不正かどうかを判断することが出来ます。急に粗利率が上昇し、その理由が新規事業や社会的変動によるものでなく不透明な場合は、不正が疑われます。

粗利率のみならず、営業利益率などもその他の費用科目について不正がないかの判断材料となります。

長期借入金が急増していないか

粉飾決算は利益を多く見せるものが多いですが、資金繰りが良好であることを見せる場合もあります。資金繰りが良好であると思わせる手段の一つに、短期借入金を長期借入金に振替をするものがあります。

短期借入金は流動負債であり、流動負債は少ない方が、資金繰りが良いと一般的に判断をされます。流動資産を流動負債で割った流動比率も流動負債が少ない方が大きくなります。

この流動負債を少なくする方法として、短期借入金を長期借入金に振替、固定負債にします。この手段を行うと長期借入金が急増します。また新規借入を行わない限り、借入金の残高は返済のために減少をしていくものであることが一般的です。

これを見抜くためには、粗利率と同様に会社の前期や前々期などの決算書の短期借入金、長期借入金の残高と当期末の残高を比較することで、不正かどうかを判断することが出来ます。急に長期借入金が増え、その理由が新規事業の展開などの必要に迫られた新規借入でない場合は、不正が疑われます。

同様に流動資産を増やす方法も流動比率を大きくすることが出来ます。現金や受取手形などが急増した場合も不正が疑われます。

まとめ

以上のように不正な会計帳簿のよくあるポイントをご紹介致しました。取引先から決算書を貰う場合は、1年分だけではなく、前期、前々期、当期といったように直近の3年分のものを貰うと、比較が出来るため、不正を見抜くことが出来る可能性が高まります。

大きな取引が開始されてから、取引先の不正が発覚し、売掛金が回収出来なくなってしまう、などといった損害が出てしまうと、目も当てられない状況になってしまいます。そのような状況にならないために、不信感のある取引先とは付き合わないことが自社を守ることに繋がります。

決算書を貰い、何か不信に思える箇所があれば、取引先に内容を確認すると良いでしょう。明確な回答が得られない、そもそも決算書の提示を断られてしまう、などがありましたら、その取引先との付き合いは一考した方が良いかもしれません。

決算書を貰ったが、見るべきポイントがよく分からない、何となく不信には思うが何を取引先に確認をすれば良いか分からない、などとご不明な点がございましたら、是非弊社にご相談くださいませ。決算書の見方等のアドバイスをさせて頂きます。
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