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個人事業主が会社設立で失敗しないために必要な8つの知識

カテゴリ:会社設立・起業

/公開日:2018年3月20日

会社設立
個人事業主が会社設立をすることは事業が順調な証拠でしょう。(個人事業主から会社設立することを「法人成り」といいます。)法人を設立することで得られるメリットはたくさんあります。その一例として節税対策がしやすくなる点でしょう。しかし一歩間違えると、自分の裁量で経営していた法人から突然追放されるなど、足元をすくわれるケースはよくある話です。そこで、次の2点を中心に解説します。
・法人成りをした後でも自分の裁量で経営をする方法(足元をすくわれるリスクを回避する)
・節税対策などによりコストを最小限する方法

法人成りをするメリットと思わぬ落とし穴

個人事業主から「○○株式法人」「△△合同法人」などに変更することで信用度アップと節税対策がしやすくなるメリットが享受できます。しかし、法人の権限は経営者から出資者に移るため、思わぬ落とし穴が待ち受けています。
たとえば、個人事業主が法人成りで株式会社を設立して代表取締役に就任したとします。他人が出資者の場合、臨時株主総会で役員を解任される可能性が0%ではありません。そのため、法人成りをしても個人事業主のときと同様に自分の裁量で経営をしたい場合は、自ら出資者になる必要があります。

事前に知っておきたい出資者の権限

出資者が法人に対して行使する権限のことを「議決権」といいます。この議決権の割合の大小が法人の明暗を左右します。たとえば、経営にふさわしくない役員を解任するためには、基本的に議決権のうち過半数の賛成が必要です。そのため、共同出資などにより出資者同士の意見が対立したとき、議決権の割合が低いことで、役員を選ぶなど法人の意思決定が困難となります。

個人事業主が法人成りをした後でも自分の裁量で経営をしたい場合には、次の2点を心がけましょう。
・自分の議決権の割合を意識する
・出資者は法人の経営にふさわしい人を選ぶ

株式会社?合同会社?出資者になる前に知っておくべき2つの形態の違い

株式会社と合同会社では、設立するときの費用や役員の任期の有無などさまざまな違いがあります。その中でも出資者になる前に知っておくべき点は議決権の割合の数え方です。

・株式会社:出資額
・合同会社:出資者の数(出資額に変更が可能)

仮に本人が400万円、別の人が100万円、計500万円出資したとします。
・株式会社:本人の出資比率「400万円÷500万円=80%」と議決権の割合が一致する
・合同会社:本人の議決権の割合は「1人÷2人=50%」であり、過半数に満たない
過半数という点に着目する際は上記の違いを認識しておきましょう。

資本金は1,000万円未満が鉄則

資本金を1,000万円未満にする理由は最長で2年間消費税が免除できるためです。設立年度と2期目に前々年度の課税売上高(年商)が存在せず、0円とカウントされます。個人事業主のときに、課税売上高が1,000万円を超えて消費税を納税しても関係ありません。つまり、最長で2年間の消費税がプールできます。しかし、設立時の資本金が1,000万円以上の場合、設立年度から消費税の課税事業者となり、消費税をプールできる恩恵が受けられません。

節税対策を念頭に置くなら期首は繁忙期に設定しよう

法人の年度は個人事業主と違い、暦年(1月1日~12月31日)にする必要はなく、4月1日~3月31日など自由に設定できます。そこで、節税対策を念頭に置くなら期首は繁忙期に設定することをおすすめします。最も利益の出る月を期首にすることで、余裕をもって節税対策が施せるからです。たとえば、旅館業の繁忙期が年末年始とします。当然、12月~1月に利益を多く計上することになります。そのとき、期首が12月なら決算月である翌年11月までの間に広告宣伝費に投入するなど計画的に節税対策を実施することが可能です。

社会保険料の負担増を防止するポイント

個人事業主と違い、法人は社会保険の加入が強制されます。役員報酬や雇用契約に基づく給料の約15%を法人が負担しなければなりません。たとえば、年収500万円の従業員を雇用した場合、「500万円×15%=75万円」の社会保険料が法人負担分です。つまり、雇用する人数に比例して負担増するのが特徴です。そのため、「コア業務だけを雇用契約に基づく従業員に任せる」「周辺業務はアウトソーシングをして社会保険料の負担しない」など将来の人員計画を立てることが大切になってきます。

個人事業主の財産や債務を上手に引き継ぐ方法

個人事業主のときに獲得した財産や債務を法人へ次の通りに引き継ぐことができます。
・現物出資
・個人から法人への売却
・法人が個人から借りる
しかし、引き継ぐ方法を間違えると余分な税金を負担しなければなりません。そこで、財産や債務の種類別に上手に引き継ぐ方法を紹介します。

(1) 債権債務は引き継がない
「売上代金の未回収金額である売掛金などの債権」や「購入代金の未払い額である買掛金などの債務」は法人へ引き継がないのがポイントです。債権や債務を精算しても税金の計算に影響がないからです。

(2) 在庫は販売価格の70%以上の価格で引き継ぐ
個人事業主のときに残っている在庫を販売価格の70%以上で引き継げば、通常の売買として取り扱われます。
たとえば、仕入原価60万、販売価格100万円の商品を70万円で法人へ引き継いだとします。個人事業主の売上高は70万円、仕入原価60万円は経費に計上できます。一方、法人の仕入原価は70万円であり、売却時に経費で落とせます。
しかし、引継価格が販売価格の70%未満の場合は個人から法人への贈与として取り扱われます。

たとえば、販売価格100万円の商品を50万円で法人へ引き継いだとします。個人事業主の売上高は50万円に販売価格の70%との差額「100万円×70%-50万円=20万円」がプラスされます。一方、法人は差額20万円の贈与を受けたものと取り扱われ、受贈益として法人税の課税対象となります。つまり、個人と法人に二重課税されます。

(3) 動産の固定資産は帳簿価格で引き継ぐ
固定資産は時価(現在の売却価格)で法人へ引き継ぐのが原則です。しかし、備品や車両には時価が存在しません。そこで、個人事業主の決算書に計上されている帳簿価格(購入金額-減価償却費の累計額)が時価に相当する金額となります。

(4) 不動産を引き継ぐ場合は慎重に検討しよう
個人事業主のときに使用していた土地と建物は法人へ引き継ぐ方法と賃貸する方法に大別できます。しかし、法人へ引き継ぐ場合は個人から不動産を購入することを意味します。そのため、法人に不動産所得税や登録免許税が課税されます。また、時価が多額になると、不動産の売却益が多くなります。その結果、譲渡所得に対する所得税の問題が生じます。

そこで、現実的には個人から法人への賃貸が現実的といえます。土地を法人に貸し付ければ借地権が設定されます。そのとき、権利金を収受する取引の慣行(習慣)ある場合、法人は個人へ権利金を支払うのが原則です。仮に支払わない場合、法人は権利金相当額の贈与を受けたものとして、受贈益が法人税の課税対象となります。

しかし例外として、「土地の無償返還に関する届出」という土地の使用後に無償で個人に返還する旨の届出を税務署へ提出すれば、法人は権利金を個人へ支払う必要がなく、受贈益は課税対象になりません。

以上のように不動産の引き継ぎの税務は複雑なため、事前にご相談頂いたほうがよいかと思います。

法人成りをしても個人事業主としての確定申告は必要

完全に財産や債務を引き継げば、個人は廃業することを意味します。一方、法人に不動産を賃貸する場合は不動産賃貸収入を受け取るため、個人事業主として継続されます。そこで、廃業する場合と不動産賃貸収入を得て継続する場合に分けて確定申告のポイントについて解説します。
(1) 廃業する場合
確定申告をするのは事業所得と役員報酬に対する給与所得を合算した金額です。独特な点は、事業税の取り扱いです。
・廃業日から1カ月以内に事業税の申告を行う
・事業税は原則通りの翌年でなく、見積額を廃業した年の経費で落とす
(2) 不動産賃貸収入を得て継続する場合
確定申告をするのは事業所得、給与所得、不動産賃貸収入に対する不動産所得を合算した金額です。翌年以降も個人事業主として給与所得と不動産所得の確定申告が必要となります。しかし、青色申告特別控除は事業的規模とみなされないため65万円から10万円にダウンするので注意が必要です。

まとめ

今回は法人成りをした場合に想定できるリスクを回避する方法や節税対策を中心に解説してきました。この記事で法人成りをした後についてイメージができます。しかし、実務で運用する場合、細かい点まで理解する必要があります。たとえば、法人成りをした年の個人事業主としての確定申告は事業税の申告や見積もり計上など独特です。そのため、法人成りをした後でも順調に経営をするために、不安なことや疑問はなんでもご相談ください。

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