税理士相談ナビ

Blog

【仮想通貨の確定申告】取引の税務的取扱いは?節税対策できる?

カテゴリ:税務・経理・決算

/公開日:2017年12月8日

現在、ビットコインをはじめ仮想通貨が高騰化しております。昨年、仮想通貨を購入して、今年になって単価が数十倍になった方もいるかもしれません。
そこで気になるのが税務的な取り扱いです。
平成29年12月1日、国税庁から「仮想通貨に関する所得計算方法等について」という指針が公表されましたが、細かい取扱いについてはやはり専門家に依頼されたほうがよいかと思います。
このブログでは仮想通貨の取り扱いについて詳しく記載していきますので是非参考にしてください。
また、今後、国税庁に仮想通貨の取り扱いについて詳しく公表される可能性がありますので、その都度情報をアップしていきたいと思います。

【個人の場合】

個人が仮想通貨で得た利益は「雑所得」

雑所得ってなんぞや?という方もいらっしゃるかと思います。雑所得とは本業ではない副業から得られた利益を計算する区分のことです。この雑所得区分ですと、稼いだ利益が丸々課税されてしまいます。サラリーマンの方で給与所得を得ている方であれば、その所得にプラスして税金が来ますので儲け幅によってはかなりの納税額(所得税は累進課税なので高額であればあるほど税率が高くなります。仮想通貨の近年の高騰化を考えると最高税率の45%ということもありえます)になります。
また株式と違い将来3年間にわたって損益通算(利益と損失を相殺)できません。
ちなみに雑所得だと帳簿をつけなくてもよいですが、税務調査が入る可能性もゼロではありませんので、計算根拠は残しておきましょう!

具体的な会計処理は?

個人であれば、時価評価をするという規定がありませんので、仮想通貨を売却したときに売却益が出ていたら利益を認識するという考え方です。

節税できるの?

雑所得区分での計算になりますので、仮想通貨で所得を得るために使用した経費は控除できるのですが(例としては、仮想通貨専用として購入したPCなど)利益額に対しては微々たる控除額と言わざるをえません。
つまり、残念ながら個人の副業として行うトレードに関しては節税対策がないといえそうです。

とはいえ、上記で記載したように個人の方は売却した時点で利益を認識するという方法になりますので、ご自身の本業での所得と税率の関係を計算して売却するのが一番の節税方法といえるかもしれません。

取得価額の評価方法は?【個人・法人共通】

国税庁の指針では仮想通貨の取得価額の計算方法は「移動平均法」もしくは「(継続適用を要件に)総平均法」を用いるとの記載があります。
では、どちらのほうが良いのか事例を挙げて計算してみます。

例)ビットコインを購入した場合

3/1 200,000円で3ビットコインを購入

9/30 800,000円で1ビットコインを購入

10/15 450,000円で0.5ビットコインを売却

11/20 1,100,000円で1ビットコインを購入

【移動平均法】
取得価額:
(200,000+800,000)÷(3+1)=250,000円/ビットコイン
(250,000×3.5+1,100,000)÷(3.5+1)=438,888円

【総平均法】
取得価額:
(200,000+800,000+1,100,000)÷(3+1+1)=420,000円

簡単な事例で計算した結果、【移動平均法】で計算したほうが有利になりました。
国税庁でも紹介しています。

参考URL:国税庁 仮想通貨の取得価額

もし、総平均法を選択したいという方は毎期継続適用ですので、初回の選択は慎重に計算してから進めるようにしましょう。
(総平均法は全部を合算して、購入数で割ればいいので計算が簡単なところがメリットです)

売却したとき(時価評価したとき)の利益計算はどうなるの?【個人・法人共通】

仮想通貨のレートが上がってきて売却することによって利益を確定した場合を計算してみましょう!

例)上記例と同じ(期中売却)

期中 0.5ビットコイン 売却価額(時価)450,000円

【移動平均法】

450,000-438,888=11,112円

【総平均法】

450,000-420,000=30,000円

≪利益額≫

移動平均法<総平均法

例)上記例と同じ(期末時価評価)

期末 4.5ビットコイン 売却価額(時価)1,200,000円/ビットコイン

【移動平均法】

(1,200,000×4.5)-(438,888×4.5)=3,425,004円

【総平均法】

(1,200,000×4.5)-(420,000×4.5)=3,510,000円

≪利益額≫

移動平均法<総平均法

つまり、取得価額が高い方(この例ですと、移動平均法)が利益額を抑えることができるといえます。

結論:個人の場合の節税対策は?

個人の場合は、ご自身の本業の所得をまず把握すること。その次にどれくらいの利益を出したら税金がどのくらいになるかを考えて年末までに売却額を決めることとなりそうです。

個人的な見解としては、個人事業主として開業届を税務署に出し本業として仮想通貨を取り扱うほうが経費計上の幅も出ますのでよいかと思います。
本業で青色申告すれば65万円控除もできます。
その後、もし、あまりにも利益が出るようであれば法人化を検討してみてはいかがでしょうか。

【法人の場合】

具体的な会計処理は?

国税庁HPでは明らかに記載されていませんが、仮想通貨の性質を考えると、売買目的有価証券とか外貨通貨に通ずるものがありますので、期末時の時価によって評価するのが妥当です。

つまり!期末に持っている仮想通貨は法人であれば1度時価計算され、売却していない未実現の利益であっても評価損益として所得計算に組み込まれてしまうことを意味しています。

ここで法人といったわけは有価証券の時価評価に関しては法人に限定されているからです。

国税庁の有価証券の時価評価損益

《売買目的有価証券の範囲》に規定する専担者売買有価証券とは、いわゆるトレーディング目的で取得した有価証券をいうのであるから、基本的には、法人が、特定の取引勘定を設けて当該有価証券の売買を行い、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行し得る人材から構成された独立の専門部署(関係会社を含む。)により運用がされている場合の当該有価証券がこれに当たることに留意する。

引用元:国税庁

ちなみに、法人が事業として仮想通貨を取り扱っている場合でも、本業でない場合は営業外損益項目が妥当です。

節税できるの?

上記で記述したように期末時点に保有している仮想通貨は時価での評価となりますので、含み益が顕在化されます。
これが2年目であれば、その含み益を翌期首に戻して、期末の含み益との差額で利益を計算することになるので影響額は少なくなりますが、こと1年目に限っては持っている仮想通貨の含み益は全額収益計上されてしまいます。

そこでできる節税対策は、どの会社でやっているように経費計上によって利益を圧縮するのが主な対策といえます。(もちろん事業に関係のない経費は計上できません)
しかし、利益を圧縮することで節税することはできますが、仮想通貨の未実現の評価益は現金化していないので、できる節税対策に限りがあるのがネックといえます。

期末評価額は?

仮想通貨取引所において活発な市場が存在する場合は、市場価格すなわち時価で評価し、活発な市場がない場合は、取得原価(取得価額)で評価することになります。

取得価額や売却した時の利益計算は?

上記、個人の取扱参照

結論:法人の場合の節税対策は?

法人の場合は初年度に関していえば、含み益がでているときは手元に現金がないにもかかわらず収益計上することになりますので、現金を使った節税対策はあまりできません。
もし、本業がしっかりとあり、投資として仮想通貨をされている場合は本業で得た現金を使って節税対策をするというのが現実的な対応になるかと思います。

とはいえ、利益が多額に出ている場合であれば、法人の税率は個人の場合と違い、税率に上限がありますので、利益額によっては法人であることのメリットが大きくなります。

個人と法人の所得金額による税率の違い
【個人】

税率
195万以下 5%
195万超-330万以下 10%
330万超-695万以下 20%
695万超-900万以下 23%
900万超-1,800万以下 33%
1,800万超-4,000万以下 40%
4,000万超 45%

【法人】(中小企業の場合)

税率
800万まで 15%
800万超 23.4%

上記税率差を見ると、所得が800万の水準を超えるのであれば法人の方が税率メリットが大きくなります。

また、平成29年12月5日に政府は法人税に関して、一定の条件を満たす場合3%以上の賃上げやIOTなどの先端技術に投資すること)には、さらに税率を優遇するという方針を固めた(実質負担20%)との情報があります。(2018年度-2020年度の時限措置)

仮想通貨を使い、上記条件を満たすことができるならば、個人であるよりも法人であることのメリットがますます大きくなってきます。
こちらの方針は出たばかりなので詳しい情報が公表されましたら、その都度情報をアップしていきたいと思います。

【個人事業主を開業・法人を設立しよう!】

これから仮想通貨を始めようと思っている方、利益が出てからでは節税対策はしにくいです。
後でしまった!とならないように、仮想通貨に手を出す前に個人事業主として開業してみてはいかがでしょうか?

個人的な見解としては、まずは個人事業主として開業しておいて、その利益幅が大きくなるようでしたら法人成りをする流れがよいかなとは思います。

開業については当事務所にお問い合わせください!

仮想通貨に関して個人事業主としての開業や、会社設立をお考えの場合は、会社設立に明るい当事務所までお問合せください!
事業となれば帳簿をつけなくてはなりませんので、一切合切をサポートすることができます!


開業または会社設立はこちら

【補足】

マイニング費用ってどうなるの?

仮想通貨を発掘(マイニング)するために要する費用は経費計上が可能なのでしょうか?
マイニング権利は$500~購入することができ、使用可能期間は1,000日です。権利をどのように捉えるかですが、権利=出資金としてではなくマイニング発掘のための機械の購入費用(マイニングサーバーの購入)として捉えるならば、金額によっては資産計上して減価償却が妥当だと思います。
この場合は法定耐用年数(サーバー:5年)よりも使用可能期間が1,000日(≒3年)と決まっていますから3年として計算して問題ないかと思います。
とはいえ、このマイニングのための費用の取り扱いについては国税庁より詳しい指針が公表されていませんので今後の動向に注意したいところです。
また、マイニングによって日々得た仮想通貨の取得価額は取得した日の時価になりますのでご注意を!

個人の方が仮想通貨で売却した利益が20万円未満だった場合

こちらはよく耳にするお話なので、ご存じの方も多いかもしれません。雑所得で利益が20万円未満の場合は、所得税は確定申告しなくてもOKです。
ですが・・・、住民税は他で獲得した利益があれば確定申告しなければなりません。これが非常に厄介です。
他で稼いだ利益が20万円未満だから確定申告しなくていいかーなどと考えていると、住民税の方で申告漏れになってしまいます。ご注意ください!
ちなみに住民税は市役所のサイトを除くと特設ページが作られていることもありますのでお住まいの市役所のHPを確認してみてくださいね。

参考URL:名古屋市

こちらから外部リンクで申告書を作成することができます。

名古屋駅徒歩7無料相談会
あなたの疑問・質問にお答えします!

毎週月~金に初回無料にて起業(会社設立・介護事業開業・医院開業)や税務・経営・決算、税務改善、相続手続きや相続税対策などの相談にのります。会社設立の費用や税務顧問、相続税のお見積りも無料にて行っています。

こんな記事も一緒に読まれています

    記事はありません
お電話でのお問合わせ(平日9~17時30分)052-446-5970
無料相談会/無料見積り
上に戻る
ホーム